興味も愛もなく、お金のことしか考えない。そういう奴等とは闘う。空山基インタビュー(1/2)
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空山基/イラストレーター
森羅万象に影響受けます、真似できない人や事象が尊敬の対象なんです。ダヴィンチ、ディズニー、北斎、私にとって生き方がね、もう眩しいんです。
森羅万象に影響受けます、真似できない人や事象が尊敬の対象なんです。ダヴィンチ、ディズニー、北斎、その辺が三大です。私にとって生き方がね、もう眩しいんです。描く時は常に尊敬する先人たちを背負ってるのよ。そういうひとたちに恥ずかしくないものを作らなくちゃってね。ダヴィンチなんかは、例えば刑場から屍体を持ってきて解剖したり、それはローマ法王に殺されるような行為だから。それって眩しいの、私の中では絶対出来ない事。自分に物凄い忠実なんです、私は自分にそこまで興味が持てないから。だから非常に卑怯な生き方なんだけど、周回遅れでトップランナーみたいな顔してるの。だから常に座標軸にする人がいて、良いところは得るけど、反面教師にもするし、そいつらに先に行かせるの。
ジャン・クストーなんかも好き、アクアラングを発明したカリプソ王。実の息子がそれで死んでる、それでも海への興味を捨てないんです。カール・セーガンなんかも好き。天文学とか、頭が凄い良い人なんだけど、子供にも分かり易く、物凄い難しい事をね。学校の先生って、難しいことを難しく説明するだけじゃん(笑聲) 事を知った以上、素晴らしいものを描きたいんです。
※ジャック=イヴ・クストー(Jacques-Yves Cousteau, 1910年6月11日 – 1997年6月25日)
潜水用の呼吸装置スクーバ(商品名:アクアラング)の発明者の一人として知られる。水中考古学を始めた人物でもある。 調査船カリプソ号で海やそこに住む生物の研究を行う一方、それを書籍、記録映画にして一般への啓蒙活動も行った。 赤いニット帽がトレードマーク。「海の恋人」と呼ばれていた。
※カール・エドワード・セーガン(Carl Edward Sagan, 1934年11月9日 – 1996年12月20日)
アメリカの天文学者、作家、SF作家。元コーネル大学教授、同大学惑星研究所所長。NASAにおける惑星探査の指導者。 「核の冬」「テラ・フォーミング」「宇宙カレンダー」などの持論で知られる。
文化に品はないんです、文化はパラサイトです。経済に余裕がある時だけ、品がある振りをするんです。
文化に品はないんです、文化はパラサイトです。経済に余裕がある時だけ、品がある振りをするんです。それ以外はみんな権力や経済に媚びてる。未だに生き延びてて尊敬されている文化って、ありとあらゆるものに言えるんだけど、パトロンがいて、貴族だとか王様、大金持ちがいて、生活だとか、女房子供も食わせてくれて、一生面倒見てくれて「好きなことやれー!」っていった時に花咲くんです。独立して、女房子供の心配しながら、お金の計算だとか、駆け引きになり出すと、心は曇ります。それがなかった時代に凄い絢爛豪華なんです。だけど次の王様になった時にグサッてなるから、その時に生き延びるエネルギーがない限り、生き残れる作品は作れないと思います。
日本も鎖国まではいたけど、中途半端な才能の人は地獄だったと思います。志はあるのに、チャンスだとか、場所与えられないわけでしょ?で一生恨みながら死んでいった人が大部分で、99%の人が消えていっている、1%の人はラッキー、運も才能だと思ってるから、夭折だとか若死という事も才能の一部なんです。小さいチャンスも巡り合ってるのに気がつかないのは論外、ありとあらゆる分母増やして対人関係も作る。文化をやるにはその覚悟で、泥臭く必死に生きる、それしかないんです。だから私は、社会性のない有能作家のパトロンをしたいと思ってるんです。
フィジカルな見方すれば答えは出るんです。メンタルが崇高だと思ってる勘違い、そういう人たちはなんか悲しい、哀れ。
子供の頃から金属フェチなんです。飛行機のジェラルミン、日本刀、クロームメッキ、ステンレス工具とか、金属がエロティックでセクシーに感じるんです。牝ホルモンからの発信で興味は常に異性に向かうのが自然な習いです。だから女性は好きですね、女神だと思っています。快楽主義で、自己責任で、この気持ち良いのを追いかける。それは、タバコ吸おうが、麻薬やろうが、ギャンブルで身を滅ぼそうが、快楽原則で滅びの美学なんです。快楽を求めるのは崇高な美学だと思っています。権利だとか平等だとか理想ではあるけれど、追い求める対象だから永遠に近づけないと考えています。
変なんだよ今の東京は、人間の本質を求めなくなっている。東京は豊かだから、勘違いした人がいっぱいいて落ち着くんですよ。草食系だとか絶食系の人たちだって朝チンコ勃つと思いますよ(笑聲) 食欲と性欲は基本だから、それを否定する人たちは嘘つきだと思ってる。勃たない奴が言うなら解るよ、お腹空かない奴が食欲ないっていうならいいよ。食欲は個を維持する為の本能、性欲は種を残す人類を維持する本能です。フィジカルな見方すれば答えは出ますが、メンタルが崇高だと思ってる勘違い、そういう人たちはなんか悲しい、哀れ。
バカヤロって、私はディズニーは大好きだ、オメーらより大好きなんだってね。一番のオマージュで、現にロボットのミッキーなんてないだろバカヤロってね。(笑聲)
正論を言えば良いんです、下心があったり、金になるなんて思って交渉しようとするから駄目なんです。 当たり前の事を言ったら当たり前に返してくれます、アメリカのディズニーはね(笑聲) フューチャーミッキーだって指全部動くようにすれば、アクションフィギュアだとか好きなポーズとれるわけじゃん。 最初のミーティングで、ピースだとか、中指だとか、こうだとかっていったら、「これダメー!」とかってボルトで動かないようにしたんだもん。 だって不自然じゃんって大喧嘩したんだよ(笑聲)。ミッキーやるのも何年代のミッキーっていったら目はこうなってて、鼻はこうなってていうマニュアルがあるわけです。 マニュアルじゃないと駄目だっていうわけ、バカヤロって、私はディズニーは大好きだ、お前らより大好きなんだってね。 一番のオマージュで、現にロボットのミッキーなんてないだろバカヤロってね(笑聲) 私は作るんだよ、嫌なら辞めるっていったらOKになったんです。
これでなきゃ嫌だって、だったらやらないって言うと、本当に欲しかったら、それで説得するはずなんです。 そうすると私の方も面白がるわけ、いやいや金だけって割り切って描くと駄目、面白がった作品ってクオリティも絶対高いわけです。 そういう大きなプロジェクトやお金につながる発想だと媚びるんです。 だからモチベーション、愛情、オマージュ、そういうものを素直に一生懸命出すことが重要です。 借り物では絶対歯が立たないけど、どんな人だって説得できる筈ですよ。 ウォルト・ディズニーとかルーカスを尊敬していれば伝わりますよ。
※Dhyp. FUTURE MICKEY(ディーハイプ フューチャーミッキー)
ミッキーマウス生誕75周年に限定で発売されたダイキャスト製アクションフィギュア。 ロボットアートの第一人者である空山基氏描き起こしによるオリジナルアートをもとに作成された。
喧嘩する時も50人位全員が耳ダンボで聞いてるわけ。あの大企業病の情けないところをね、返り討ちにしてやるのが痛快ですね。
AIBOの時、私は開発者を社中で仲間に引き込んじゃうんです。 例えば一発目が凄い受けたら、能無しがワーワー寄ってくるの。 そいつら何の興味もなくて、お金しか考えてないくて、何にも愛してないです。 そういう奴等とは闘うわけです、そしたら私ミーティングにも入れてくれなくなったね(笑聲) 「金型作るのに何百万かかるか分かってるの?」っていう言い方するから。 開発してる人だとか、技術屋さんはこういうものを作りたいっていうコンセプトが明確じゃん。 だからそれに共鳴したら、力はないけど必死に私なりの事をやるわけです。 一番トップは知ってるから、迂闊な事は言えないから、外様なんだけど、皆を引き込む。 喧嘩する時も50人位全員が耳ダンボで聞いてるわけ。 あの大企業病の情けないところをね、返り討ちにしてやるのが痛快ですね。
私、放送事故ばっか話すけど、当たり前のことしかいわないじゃん(笑聲)空山基インタビュー(2/2)☞続く
※AIBO(アイボ)
ソニーが1999年から2006年にかけて発売していた子犬型などのペットロボット(エンタテインメントロボット)。 名称は Artificial Intelligence roBOt の略で、AI(人工知能)、EYE(目、視覚)そして「相棒」 (aibou) にちなむ。
PROFILE
人体と機械の美を追求した作品を次々と世に送り出し、国内外で伝説的な存在となっているアーティスト。セクシーロボットのイラストやエアロスミのCDジャケットのデザインなどで世界的に知られ、「エアブラシ技法のゴッドファーザー」の異名を持つ。イメージディレクションを手がけたSONYの初代「AIBO」は、1999 年の通産省グッドデザイン賞グランプリを受賞、スミソ ニアン博物館とニューヨーク近代美術館、MOMAのパーマネントコレクションされるなど、日本が世界に誇るピンナップアートの巨匠。その活動はアートのみにとどまらず、ファッション、音楽などの他分野からも高い注目を集めている。
Name: 空山基
DOB: 1947
POB: 愛媛, 日本
Occupation: イラストレーター
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